小国和紙ができるまで of 小国和紙生産組合

1.コウゾを育て、収穫する

DSCF1290.jpg春のコウゾ畑のようす コウゾ畑 8月.jpg8月 すでに4mを超えてます


DSC_0998.jpg11月 コウゾの収穫 DSC_0980.jpg12月 収穫後のコウゾ畑


20091127-DSCF7715.jpgコウゾ収穫に使うカマとノコギリ
コウゾは桑科の落葉低木で株で冬を越し、春には小さな芽を出すと梅雨から夏の蒸し暑い時期に急成長しお盆頃には4m~5mになります。9月に入り少し気温が下がってくると背丈は落ち着きますが、幹が肉付いてきて皮を厚くします。11月に入り葉が落ちてくる頃に、楮に傷をつけないよう、収穫はカマやノコギリを使い収穫を行います。




2.切りそろえて、蒸して皮をむく

DSC00001.jpgコウゾ蒸し P1170726.jpgコウゾ蒸し


楮の皮剥き.jpgコウゾの皮むき コウゾ皮の乾燥.jpgコウゾ皮の乾燥
収穫したコウゾの1m程に切りそろえます。コウゾの皮が紙の原料になるため一度蒸して皮をむきます。冷めると冷めるとむきづらうなるので熱いうちにむきます。皮をむいて残った芯棒は薪にしたり、畑の支柱に使用したりムダなく使用します。




3.皮引き

FH000018.jpg皮引きFH040007.jpg皮引き
むいた皮にはたくさんの表皮がついています。その表皮を包丁でそぎとっていくのが皮引きです。芽の跡やキズも同時に取っていきます。楮皮1枚1枚行うので時間のかかる作業です。この引いた後の皮を雪晒しをすると白い紙ができます。 (下記の雪晒しを参照)




4.煮る

P1060002.jpgコウゾの皮を煮るP1010205.jpgコウゾの皮を煮る


P4190081.jpg薪を焚いて煮ますP1060015 (2).jpg木灰液
コウゾはすぐに使わない場合、乾燥して保存し、煮る前の晩のから水にひやかしもどします。煮る時にはソーダ灰あるいは木灰液(木灰を水に溶いた上水)を釜入れ沸騰させコウゾを煮ます。
煮る時間は4時間程、軽く手でちぎれるくらい柔らかく煮ます。ちなみに小国和紙生産組合では火力はすべて薪を使用してます。




5.チリより

P1010193.jpgチリよりFH040018.jpgチリより
煮た後のコウゾを水の中で広げながらチリ、スジ、キズなどをとっていきます。この作業をていねいにしないと、綺麗な紙に仕上がりません。




6.叩く

DSC_0028.jpg紙叩きDSC_0034.jpg紙叩き


P1010182.jpg打解機による紙たたきP1010214.jpgナギナタビーター
コウゾの皮を繊維状にしていくのが叩解の作業です。
ほとんどはミキサーのように水と一緒にかき回しながらほぐしていくビーターという機械や、もちつき機のように叩きほぐしていく叩盤機という機械を使います。小国紙などこだわりの紙を作る場合は昔ながらにつづ(槌)という棒でコウゾの皮を叩きます。昔、この作業は子供がやっていたといいますが大変骨の折れる作業です。叩解して繊維状になった物を紙素(かみそ)あるいは紙素玉といいます。




7.紙漉き

53143.jpg画仙判の紙漉きPC100796.jpg日本酒ラベルの紙漉き


DSC_0011-min.jpgDSC_0178-min.jpg小国紙のシトづけ
いよいよ紙漉きです。漉舟(すきぶね)と呼ぶ水槽に水をはり、この紙素を入れ混ぜ合わせます。さらに トロロアオイ(ネリ) を入れてかき回し紙漉きをします。桁(けた)という木の枠の間に簀(す)という竹ひごを糸で編んだ物をはさみ、漉舟の水をくみ平らな紙になるように縦横に桁をゆすり紙を漉きます。漉いた紙は紙床(しと)という山に積み重ねます。伝統的な「小国紙」はこの後すぐに水をしぼらず、雪に埋て雪中保存する「かんぐれ」を行います。( 下記の「かんぐれ」を参照




8.水分をしぼる

PC140817.jpg油圧ジャッキで水分をしぼる
一晩、圧しをした紙床(しと)をしぼり台へ移動し、油圧ジャッキを使って水をしぼります。紙のサイズによりしぼる力の強さや時間は異なりますが小さい紙で約2トン、大きい紙で約10トンの力をゆっくりと2時間くらい時間をかけてしぼります。




9.乾燥

FH010035.jpg紙床から1枚づつはがすP1010212.jpg刷毛で鉄板に貼る
水分をしぼった紙床(しと)から1枚づつはがし、温めた鉄板に刷毛やローラーを使ってはりつけて乾燥します。 板にはりつけて天日で乾燥する天日干しのやり方もあります。( 下記、天日干しを参照 )このような工程をへて小国和紙はできあがります。





トロロアオイ根.jpgトロロアオイの根20091127-DSCF7936.jpgネリ


とろろあおい7.jpgトロロアオイの花


ネリはトロロアオイという、おくらに似た植物の根を叩くと出てくる粘り気のある樹液です。これを袋でろ過したものを、紙漉きの時、漉きブネ(紙を漉くおけ)にいれて使います。ネリの役目は主に次の3つです。
① 漉き舟の中で繊維をかき回したときの沈殿をふせぎ、均一に分散させる。
② 紙を漉く際、簀の目から水が抜けるのをゆっくりにし、水を漉き流すゆとりをつくってくれるため紙の厚みの調整ができる。
③ ネリは漉き舟の中では粘っていても紙床に重ね時間が経ってくると粘り気が消え水っぽくなるので、圧搾のあと紙同士がくっつきあわず一枚一枚はがせるようになります。これは熱や雑菌により粘り気が水気に変化するトロロアオイの性質を利用したものです。冷たくて清潔な水を使わないと長持ちさせることができません。しかも粘度は毎日変わるので紙を漉く人はその日のネリの具合をみて使う量を変えなくてはいけません。





DSC00236.jpg雪晒し風景 DSC00225.jpg雪晒し風景


DSC00223.jpg雪晒しの比較(作業前)DSC00253.jpg雪晒しの比較(作業後)
皮引きを終えた皮を冬のよく晴れた日に雪の上にならべて天日にあてます。
こうすることによって紫外線が楮の色素を破壊し皮を白くしていきます。
雪の上に敷くことによって雪が溶ける水蒸気や、雪による日の反射がより晒しを効果的にしていると考えられます。






P3050966.jpgかんぐれP1060015.jpgかんぐれ(掘り出し時)
普通は紙を漉いたら1日おいて水分をしぼり温めた鉄板で乾燥しますが、昔ながらの小国紙の場合、漉いて水分をしぼったした紙床を雪の中に入れてしまいます。これは雪国ならではの「かんぐれ」という方法で冬の間、晴れた日がほとんどないために天日で紙を干すことができません。そこで春まで雪の中に入れて保存しておくのです。雪の中は低温で腐食から紙を守り凍らすこともありません。







DSCF7121.jpg小国紙の板干しDSCF7146.jpg小国紙の板干し
昔も現在も鉄板を温める薪や灯油も大変貴重な燃料です。そういったものを使わずに紙を乾燥するにはやっぱり天日です。小国紙の天日干しは3月頃まだ地面に雪が残る時期に雪上で行います。
“かんぐれ”してあった紙床を掘り出し板にはりつけ天日に当てます。 すると直射日光と雪からの反射で多くの紫外線が当たります。
昔小国では「顔が黒くなる分、紙が白くなる」と言われ、紫外線は紙の茶色っぽい着色成分を破壊し、白く美しくしてくれます。