小国和紙の製造工程


1.コウゾを育て、収穫する 

春のコウゾ畑のようす 

8月 3~4mに成長します。


コウゾ(和紙の原料)は桑科の落葉低木で株で冬を越します。
春に小さな芽を出すと梅雨時期から夏の蒸し暑い時期に急成長し、
9月には3m~4mに成長します。

11月 コウゾの収穫

12月 収穫後のコウゾ畑


9月に入り気温が下がってくると背丈が伸びる
のは落ち着きますが、幹が肉付いてきて皮を厚くします。11月に入り葉が落ちてくる頃に、楮に傷をつけないよう、カマやノコギリを使い収穫を行います。
   

2.切りそろえて、蒸して皮をむく

コウゾ蒸し

コウゾ蒸し


収穫したコウゾの90㎝程に切りそろえ、蒸して皮をむきます。

コウゾの皮むき

コウゾ皮の乾燥


冷めるとむきづらくなるので熱いうちに皮をむきます。皮をむいて残った芯棒は薪にしたり、畑の支柱に使用したりムダなく使用します。

 

3.皮引き

皮引き

皮引き


むいた皮にはたくさんの表皮がついています。その表皮を包丁で削り取るのが皮引きです。芽の跡やキズも同時に取っていきます。コウゾ皮1枚1枚行うので時間のかかる作業です。この引いた後の皮を雪晒しをすると白い紙ができます。 (下記の雪晒しを参照)

 

4.煮る

コウゾの皮を煮る

コウゾの皮を煮る


コウゾは煮る前の晩のから水にひやかし、生の状態に戻します。

薪を焚いて煮ます

木灰液


煮る時にはソーダ灰あるいは木灰液(木灰を水に溶いた上水)を釜に入れ沸騰させてコウゾを煮ます。
煮る時間は4時間程、軽く手でちぎれるくらい柔らかく煮ます。ちなみに小国和紙生産組合では火力はすべて薪を使用しています。
 

5.チリより

チリより

チリより


煮た後のコウゾを水の中で広げながらチリ、スジ、キズなどを取り除きます。この作業をていねいにしないと、綺麗な紙に仕上がりません。

 
 

6.叩く

紙叩き

紙叩き


コウゾの皮を繊維状にほぐしていくのが叩解の作業です。
ほとんどは水と一緒にミキサーのようにほぐしていくビーターという機械や、もちつき機のように叩きほぐしていく打解機という機械を使って繊維をほぐします。

打解機による紙たたき

ナギナタビーター


小国紙など昔ながらの紙作りの場合は昔ながらに”つづ(槌)”という棒でコウゾの皮を叩きます。昔、この作業は子供がやっていたといいますが大変 手間のかかる作業です。叩解して繊維状になった状態を紙素(かみそ)といいます。

 

7.紙漉き

画仙判の紙漉き

日本酒ラベルの紙漉き


いよいよ紙漉きです。漉舟(すきぶね)と呼ぶ水槽に水をはり、紙素を入れ混ぜ合わせます。さらに トロロアオイ(ネリ) を入れてかき回し水と紙素を均一に混ぜ合わせ紙を漉きます。

小国紙の紙床づけ


桁(けた)という木の枠に簀(す)という竹ひごを糸で編んだ物をはさみ、漉舟の水をくみ平らな紙になるように縦横に桁をゆすり紙を漉きます。漉いた紙は紙床(しと)という山に積み重ねます。伝統的な「小国紙」はこの後すぐに水をしぼらず、雪に埋て雪中保存する「かんぐれ」を行います( 下記の「かんぐれ」を参照 )。

 

8.水分をしぼる

油圧ジャッキで水分をしぼる


一晩、圧しをした紙床(しと)をしぼり台へ移動し、油圧ジャッキを使い
水をしぼります。紙のサイズによりしぼる力の強さや時間は異なります。小さい紙で約2トン、大きい紙で約10トンの力をゆっくりと2時間くらい時間をかけてしぼります。
 

9.乾燥

紙床から1枚づつはがす

刷毛で鉄板に貼る


水分をしぼった紙床(しと)から1枚づつはがし、温めた鉄板に刷毛やローラーを使ってはりつけて乾燥します。 板にはりつけて天日で乾燥する天日干しのやり方もあります。( 下記、天日干しを参照 )このような工程をへて小国和紙はできあがります。
 
 

トロロアオイ(ネリ)

トロロアオイの根

ネリ


ネリはトロロアオイという、おくらに似た植物の根を叩くと出てくる粘り気のある樹液です。これを布袋でろ過したものを、紙漉きの時、漉舟(紙を漉くおけ)にいれて使います。ネリの役目は主に次の3つです。
 
① 漉舟の中で繊維をかき回したときの沈殿をふせぎ、均一に分散させる。 
② 紙を漉く際、簀の目から水が抜けるのをゆっくりにし、水を縦や横に漉き流すゆとりができるため紙の厚みの調整ができる。 
③ ネリは漉舟の中では粘っていても、紙床に重ね時間が経つと粘り気が消え水のようになるので、圧搾のあと紙同士がくっつきあわず一枚一枚はがせるようになります。 

トロロアオイの花


これは熱や雑菌により粘り気が水気に変化するトロロアオイの性質を利用したものです。冷たくて清潔な水を使わないと長持ちさせることができません。しかも粘度は毎日変わるので紙を漉く人はその日のネリの具合をみて使う量を変えなくてはいけません。 

 

雪晒し  

雪晒し風景

雪晒し風景


皮引きを終えた皮を冬のよく晴れた日に雪の上にならべて天日にあてます。
紫外線がコウゾの色素を破壊し皮を白くしていきます。

雪晒しの比較(作業前)

雪晒しの比較(作業後)



雪の上に並べることで雪が溶ける時に発生する水蒸気や、雪による日光の反射がより晒しを効果的にしていると考えられます。 
 

かんぐれ

かんぐれ

かんぐれ(掘り出し時)



普通は紙を漉いたら一晩おいて水分をしぼり蒸気で温めた鉄板で乾燥しますが、昔ながらの小国紙の場合、紙床を雪の中に埋めて雪中貯蔵します。
これは雪国ならではの「かんぐれ」という方法で冬の間、晴れた日がほとんどないために天日で紙を干すことができません。そこで春まで雪の中に埋めて保存しておくのです。雪の中は低温で腐食から紙を守り凍らすこともありません。 
  

天日干し

小国紙の板干し

小国紙の板干し


昔も現在も 鉄板を温める薪や灯油は大変貴重な燃料です。そういったものを使わずに紙を乾燥するにはやっぱり天日です。小国紙の天日干しは3月頃まだ地面に雪が残る時期に雪上で行います。

“かんぐれ”してあった紙床を掘り出し板に貼り天日に当てます。 すると直射日光と雪からの反射で多くの紫外線が当たります。
昔小国では「顔が黒くなる分、紙が白くなる」と言われ、紫外線は紙繊維の茶色っぽい着色成分を破壊し、白く美しくしてくれます。 

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