1.コウゾを育て、収穫する
春に小さな芽を出すと梅雨時期から夏の蒸し暑い時期に急成長し、
9月には3m~4mに成長します。
のは落ち着きますが、幹が肉付いてきて皮を厚くします。11月に入り葉が落ちてくる頃に、楮に傷をつけないよう、カマやノコギリを使い収穫を行います。
2.切りそろえて、蒸して皮をむく
3.皮引き
むいた皮にはたくさんの表皮がついています。その表皮を包丁で削り取るのが皮引きです。芽の跡やキズも同時に取っていきます。コウゾ皮1枚1枚行うので時間のかかる作業です。この引いた後の皮を雪晒しをすると白い紙ができます。 (下記の雪晒しを参照)
4.煮る
煮る時にはソーダ灰あるいは木灰液(木灰を水に溶いた上水)を釜に入れ沸騰させてコウゾを煮ます。
煮る時間は4時間程、軽く手でちぎれるくらい柔らかく煮ます。ちなみに小国和紙生産組合では火力はすべて薪を使用しています。
5.チリより
6.叩く
ほとんどは水と一緒にミキサーのようにほぐしていくビーターという機械や、もちつき機のように叩きほぐしていく打解機という機械を使って繊維をほぐします。
7.紙漉き
桁(けた)という木の枠に簀(す)という竹ひごを糸で編んだ物をはさみ、漉舟の水をくみ平らな紙になるように縦横に桁をゆすり紙を漉きます。漉いた紙は紙床(しと)という山に積み重ねます。伝統的な「小国紙」はこの後すぐに水をしぼらず、雪に埋て雪中保存する「かんぐれ」を行います( 下記の「かんぐれ」を参照 )。
8.水分をしぼる
水をしぼります。紙のサイズによりしぼる力の強さや時間は異なります。小さい紙で約2トン、大きい紙で約10トンの力をゆっくりと2時間くらい時間をかけてしぼります。
9.乾燥
紙床から1枚づつはがす
刷毛で鉄板に貼る
水分をしぼった紙床(しと)から1枚づつはがし、温めた鉄板に刷毛やローラーを使ってはりつけて乾燥します。 板にはりつけて天日で乾燥する天日干しのやり方もあります。( 下記、天日干しを参照 )このような工程をへて小国和紙はできあがります。
トロロアオイ(ネリ)
① 漉舟の中で繊維をかき回したときの沈殿をふせぎ、均一に分散させる。
② 紙を漉く際、簀の目から水が抜けるのをゆっくりにし、水を縦や横に漉き流すゆとりができるため紙の厚みの調整ができる。
③ ネリは漉舟の中では粘っていても、紙床に重ね時間が経つと粘り気が消え水のようになるので、圧搾のあと紙同士がくっつきあわず一枚一枚はがせるようになります。
これは熱や雑菌により粘り気が水気に変化するトロロアオイの性質を利用したものです。冷たくて清潔な水を使わないと長持ちさせることができません。しかも粘度は毎日変わるので紙を漉く人はその日のネリの具合をみて使う量を変えなくてはいけません。
雪晒し
紫外線がコウゾの色素を破壊し皮を白くしていきます。
雪の上に並べることで雪が溶ける時に発生する水蒸気や、雪による日光の反射がより晒しを効果的にしていると考えられます。
かんぐれ
普通は紙を漉いたら一晩おいて水分をしぼり蒸気で温めた鉄板で乾燥しますが、昔ながらの小国紙の場合、紙床を雪の中に埋めて雪中貯蔵します。
これは雪国ならではの「かんぐれ」という方法で冬の間、晴れた日がほとんどないために天日で紙を干すことができません。そこで春まで雪の中に埋めて保存しておくのです。雪の中は低温で腐食から紙を守り凍らすこともありません。
天日干し
昔も現在も 鉄板を温める薪や灯油は大変貴重な燃料です。そういったものを使わずに紙を乾燥するにはやっぱり天日です。小国紙の天日干しは3月頃まだ地面に雪が残る時期に雪上で行います。
“かんぐれ”してあった紙床を掘り出し板に貼り天日に当てます。 すると直射日光と雪からの反射で多くの紫外線が当たります。
昔小国では「顔が黒くなる分、紙が白くなる」と言われ、紫外線は紙繊維の茶色っぽい着色成分を破壊し、白く美しくしてくれます。